2026年11月07日

2026年11月7日|ちねん内科クリニック(川口市安行吉岡)
「RSウイルス」と聞くと、赤ちゃんの病気というイメージをお持ちの方が多いと思います。ところがこの数年で、RSウイルスは高齢の方や、心臓・肺・腎臓などに持病のある方にとって、インフルエンザと同じくらい重い病気になりうることが分かってきました。日本でも2024年から大人向けのRSウイルスワクチン「アレックスビー」が使えるようになり、2026年5月には接種の対象が「持病のある18歳以上の方」まで広がっています。
この記事では、循環器内科医の立場から、アレックスビーについて「RSウイルスは大人にとってどれくらい怖いのか」「ワクチンはどれくらい効き、何年もつのか」「心臓病との関係」「副反応」「当院での費用」を、2026年11月時点の情報でまとめました。帯状疱疹ワクチン・肺炎球菌ワクチンの記事と同じく、一般の方にも、医療関係の方にも読んでいただける内容を目指しています。
- RSウイルスは大人にも深刻です。日本の60歳以上で年間約6.3万人が入院、約4,500人が亡くなると推計され、国内調査では入院した方の院内死亡率がインフルエンザより高い(7.1%対2.0%)と報告されています
- アレックスビーは1回の接種で、RSウイルスによる下気道の病気(気管支炎・肺炎)を初年度82.6%、重症例は94.1%減らし、3シーズン通算でも62.9%の効果が続きました。実際に接種が始まってからのデータでも入院を6〜8割減らしています
- RSウイルスで入院した方の約4人に1人に急性心不全などの心臓の合併症が起こります。心臓病のある方にこそ重要なワクチンです(循環器内科医の視点)
- 副反応は注射部位の痛み・だるさ・筋肉痛が中心で、多くは2〜3日で治まります。重い副反応はきわめてまれです
- 対象は60歳以上のすべての方と、持病のある18歳以上の方。当院では1回25,000円(任意接種・現時点で助成なし)です
1. RSウイルス感染症とは——「赤ちゃんの病気」ではなく、大人の肺炎・入院の原因でもある
RSウイルス(respiratory syncytial virus)は、鼻水・咳・発熱といった風邪の症状を起こす、ごくありふれたウイルスです。2歳までにほぼ全員が一度は感染し、その後も一生のあいだ何度も再感染します。多くの大人では数日の鼻風邪で終わるため、長いあいだ「子どもの病気」と考えられてきました。
ところが、加齢で免疫のはたらきが落ちた方や、心臓・肺・腎臓の病気、糖尿病などの持病がある方では、ウイルスが気管支や肺まで降りていき(下気道感染)、気管支炎や肺炎を起こします。さらに、感染をきっかけに心不全の悪化、COPDや喘息の発作、血糖の乱れなど、持病そのものが悪くなることが少なくありません。
やっかいなのは、RSウイルスには特効薬がないことです。インフルエンザのタミフルや新型コロナのパキロビッドのような抗ウイルス薬はなく、治療は酸素や点滴などの対症療法だけです。だからこそ「かからないようにする」予防の価値が大きい病気です。
日本の60歳以上では、RSウイルスによって年間約70万人が急性呼吸器感染症を起こし、約6.3万人が入院、約4,500人が病院で亡くなると推計されています(海外のデータも用いた推計値です)。国内で2022年から2024年にかけて行われた入院患者の調査では、RSウイルスで入院した18歳以上の方の院内死亡率は7.1%で、同じ時期のインフルエンザ(2.0%)を上回っていました。人工呼吸器が必要になる割合もインフルエンザより高い(9.7%対7.0%)という報告があります。
「そんなに重い病気なのに、なぜ今まで聞いたことがなかったのか」と思われるかもしれません。理由は単純で、大人の風邪や肺炎でRSウイルスの検査がほとんど行われてこなかったからです。高齢者の肺炎の約1割にRSウイルスが関わっているという国内の調査もあり、インフルエンザと同じくらいの割合です。2025年12月には、日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会の3学会が合同で「高齢者や基礎疾患のある成人のRSウイルス感染症は、インフルエンザと同程度の重症化リスクがある」として、高齢者へのワクチン接種を推奨する見解を出しました。
特に重症化しやすい方
- 65歳以上の方——75歳を超えると入院のリスクがさらに上がります
- 心不全・狭心症・心筋梗塞・不整脈などの心臓病がある方
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)・喘息などの慢性の肺の病気がある方
- 糖尿病、慢性腎臓病、慢性肝疾患のある方
- 肥満(BMI30以上)の方
- 免疫を抑える治療中(ステロイド・免疫抑制薬・抗がん剤・臓器移植後など)の方
- 高齢者施設に入所中の方——施設での集団感染が国内でも報告されています
2. アレックスビーとは——日本で初めて承認された、大人のためのRSウイルスワクチン
アレックスビー(GSK社)は、世界初・日本初の成人用RSウイルスワクチンです。生きたウイルスを含まない「組換えタンパクワクチン」で、RSウイルスが細胞に侵入するときに使う「Fタンパク」を、侵入前の形(融合前型=PreF3)のまま安定させた抗原と、免疫の反応を高めるアジュバント(AS01E)を組み合わせています。
このアジュバントは、帯状疱疹ワクチン「シングリックス」に使われているもの(AS01B)と同じ系統です。年齢とともに弱くなった免疫をしっかり呼び起こすのが得意で、「高齢者ほどワクチンが効きにくい」という常識を変えた技術です。生ワクチンではないので、免疫を抑える治療を受けている方にも接種できます。
接種できる方は、3段階で広がってきました
- 2023年9月:60歳以上の方を対象に国内で承認(2024年1月に発売)
- 2024年11月:RSウイルス感染症が重症化するリスクの高い50歳以上の方に拡大
- 2026年5月:重症化するリスクの高い18歳以上の方に拡大(18〜49歳への承認は日本で初めて)
つまり現在は、「60歳以上の方すべて」と「持病のある18歳以上の方」が接種の対象です。「持病」として添付文書にあげられているのは、慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病、慢性肝疾患、糖尿病、神経・神経筋疾患、肥満(BMI30以上)、免疫不全の状態(またはその疑い)、そのほか医師が接種を必要と認めた方です。接種は上腕への筋肉注射を1回で完了します。
日本で使える大人のRSウイルスワクチンは3種類
| アレックスビー GSK | アブリスボ ファイザー | エムレスビア モデルナ | |
|---|---|---|---|
| 種類 | 組換えタンパク+アジュバント(AS01E) | 組換えタンパク(アジュバントなし) | mRNAワクチン |
| 国内の接種対象 | 60歳以上/重症化リスクの高い18歳以上 | 60歳以上/妊婦(赤ちゃんを守る母子免疫) | 60歳以上(2025年5月承認) |
| 初年度の効果(下気道疾患) | 82.6% | 85.7%(症状3つ以上) | 82.4%(症状3つ以上) |
| 複数シーズンのデータ | 3シーズン通算62.9%(最長) | 2シーズンで58.8〜81.5% | 18か月時点で49.9% |
| 当院での取り扱い | あり(25,000円) | — | — |
当院がアレックスビーを選んでいる理由は、①3シーズンにわたる有効性のデータがある唯一のワクチンであること、②持病のある18歳以上の方まで使えること、③免疫を高めるアジュバントにより高齢の方・持病のある方でも効果が落ちにくいことの3点です。なお、アブリスボは2026年4月から妊婦さんの定期接種(母子免疫)に使われていますが、アレックスビーは母子免疫には使えません(適応外)。妊婦さんへの接種をご希望の方は産婦人科にご相談ください。
3. どれくらい効くのか——1回の接種で、初年度82.6%、重症例は94.1%、3シーズン通算63%
アレックスビーの効果は、17か国・約2万5,000人(日本人1,038人を含む)の60歳以上の方が参加した大規模な臨床試験(AReSVi-006試験)で確かめられています。ワクチンを打った人と打たなかった人(プラセボ)を比べた結果は次のとおりです。
- RSウイルスによる下気道疾患(気管支炎・肺炎):1シーズン目で82.6%減少
- 重症の下気道疾患(酸素投与などが必要な状態):94.1%減少
- 持病が1つ以上ある方:94.6%減少、70代の方:93.8%減少——高齢の方・持病のある方でも効果が落ちていません
効果はどれくらい続く?追加接種は必要?
同じ試験で3年間追跡したところ、1回の接種で2シーズン通算67.2%、3シーズン通算62.9%(重症例は67.4%)の効果が保たれていました。ただし、シーズンごとに見ると82.6%→56.1%→48.0%と少しずつ低下していくことも分かっています(2025年、Lancet Respiratory Medicine誌)。
興味深いのは追加接種のデータです。1年後にもう一度接種しても、効果の上乗せはほとんどありませんでした(2シーズン通算67.1%対67.2%)。2年後の追加接種では抗体はある程度上がりますが、初回接種の直後ほどではありません。このため現時点では、日本でも米国でも「1回接種」で、追加接種は推奨されていません。3年以上たってからの追加接種については今も研究が続いており、将来「何年かおきに追加」という形になる可能性はあります。
まとめると:1回打てば少なくとも2〜3シーズン(2〜3年)はしっかり効き、毎年打ち直す必要はありません。「いつ打つか」にこだわるより、「打てるときに打っておく」ことが大切なワクチンです。
実際に接種が始まってからのデータ——入院を6〜8割減らしている
臨床試験は「病気になる人をどれだけ減らすか」を見たものでしたが、私たちが本当に知りたいのは「入院や死亡をどれだけ防げるか」です。2023年に接種が始まった米国や欧州から、その答えが出てきています。
- 米国(60歳以上):接種1シーズン目の2023〜24年には、RSウイルスによる入院を75〜80%減らしました。2シーズン通算では58%(接種した年に69%、翌年は48%)で、効果はゆるやかに低下しますが2年目も続いています(2025年、JAMA誌)
- 英国:2024年秋から75〜79歳への公費接種を始めたところ、数か月で対象年齢のRSウイルス入院がはっきり減りました(2025年、Lancet誌)。2026年からは80歳以上にも対象を広げています
- デンマーク:60歳以上の約13万人を無作為に分けた大規模試験で、RSウイルスによる呼吸器疾患の入院を83%減らし、原因を問わない呼吸器・循環器の入院も約10%減らしました(2025〜26年、NEJM・JAMA誌。ワクチンはアブリスボ)
ワクチンの効果は「感染をゼロにする」ことではなく、「入院するような重い病気を防ぐ」ことで考えるのが正確です。その意味で、RSウイルスワクチンの入院予防効果(6〜8割)は、インフルエンザワクチン(年によって3〜5割程度)と比べてもむしろ高い印象です。
一方で、米国のデータでは心臓病のある方では効果がやや低い(56%、心臓病のない方は80%)という結果も出ています。これは心臓病があると免疫の反応そのものが弱っていることを示していて、「効きにくいから打たなくてよい」ではなく、「病状が落ち着いているうちに、早めに打っておく」という判断になります。
4. 【循環器内科医の視点】RSウイルスは「肺の病気」ではなく、心臓にも負担をかける
循環器内科医として、この病気をもっとも気にかけている理由がここにあります。インフルエンザが心筋梗塞や心不全の引き金になることはよく知られていますが、RSウイルスでも同じこと——いや、心不全についてはそれ以上のこと——が起きていることが、この2〜3年で明らかになりました。
米国CDCの研究チームは、RSウイルスで入院した50歳以上の患者さん約6,200人を5シーズンにわたって分析しました(2024年、JAMA Internal Medicine誌)。その結果、22.4%——およそ4人に1人——が入院中に急性の心臓の合併症を起こしていました。内訳は急性心不全が15.8%、急性の虚血性心疾患(心筋梗塞・不安定狭心症)が7.5%、高血圧クリーゼ1.3%、心室頻拍1.1%などです。
もともと心臓病がある方では33%と3人に1人、心臓病のない方でも8.5%と12人に1人に心臓の合併症が起きていました。そして心臓の合併症を起こした方は、起こさなかった方に比べて集中治療室への入室や院内死亡がおよそ2倍でした。
同じ方向の報告は世界中から相次いでいます。デンマークの全国データでは、RSウイルス感染の後に脳梗塞と心不全入院のリスクが上がること、カナダの研究では、RSウイルスで入院した高齢者のその後の心不全イベントが、インフルエンザで入院した方よりも多いことが示されました。
なぜ風邪のウイルスが心臓を悪くするのか
しくみはインフルエンザと共通です。感染で全身に炎症が起こると、血管の内側のプラーク(脂肪のかたまり)が不安定になって心筋梗塞を起こしやすくなります。発熱・頻脈・低酸素で心臓の酸素の需要が増え、食事や水分がとれずに脱水や電解質の乱れが起きれば、ぎりぎりで保たれていた心不全のバランスが崩れます。肺炎で入院したつもりが、実は心不全の悪化で命を落とす——循環器内科医がこの病気を軽く見ない理由です。
ワクチンで心臓は守れるのか——正直なところ
では、RSウイルスワクチンを打てば心筋梗塞や心不全が減るのでしょうか。デンマークの大規模試験では、原因を問わない「呼吸器・循環器の病気による入院」は9.9%減りましたが、心筋梗塞・心不全・脳卒中それぞれを単独で見ると、統計的にはっきりした差は出ていません(試験の規模と期間の限界もあります)。
正直にお伝えしておきたいこと:「RSウイルスワクチンが心臓病そのものを直接防ぐ」とはまだ証明されていません。確実に言えるのは、RSウイルスによる入院を防げば、入院患者の4人に1人に起きる心臓の合併症もまとめて防げるということです。欧州心臓病学会(ESC)は2025年、インフルエンザ・肺炎球菌・新型コロナ・RSウイルス・帯状疱疹の各ワクチンを「降圧薬やスタチンと並ぶ心血管予防の柱」に位置づける声明を出しました。当院もこの考え方に立っています。
心不全・狭心症・心筋梗塞後・心房細動などで通院中の60歳以上の方には、インフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹のワクチンとともに、RSウイルスワクチンを「心臓を守る治療の一部」としておすすめしています。薬で血圧・コレステロール・血糖を整えるのと同じように、「感染をきっかけにした悪化」を防ぐことが、10年先の心臓を守ることにつながると考えています。
5. 副反応と安全性——痛み・だるさ・筋肉痛が中心で、2〜3日で治まる
アレックスビーは免疫をしっかり刺激するぶん、接種後の反応はインフルエンザワクチンより多めです。事前に知っておくと慌てずに済みます。
| 症状 | 頻度の目安 | 経過・対処 |
|---|---|---|
| 注射した部位の痛み | 約6〜7割 | 接種当日〜翌日が中心で、2〜3日で改善。腕は動かしたほうが早く引きます |
| 疲労・だるさ | 約4割 | 当日〜翌日。無理をせず休養を |
| 筋肉痛 | 約4割 | 2〜3日で改善 |
| 頭痛 | 約3割 | 市販の解熱鎮痛薬を使って構いません |
| 関節痛 | 約2割 | 数日で改善 |
| 発熱、注射部位の赤み・腫れ | 1〜10% | 38℃以上の発熱は約2%。1〜2日で下がります |
※頻度は添付文書(2026年7月改訂)に記載された臨床試験のデータです。60歳以上のみを対象とした試験ではやや低く、痛み61%・だるさ34%でした。
- 反応の出方は帯状疱疹ワクチン(シングリックス)と似ています。同じ系統のアジュバントを使っているためで、シングリックスを経験した方は「あれよりやや軽い」と感じることが多いようです
- 重い有害事象(入院を要するものなど)の頻度は、ワクチン群4.2%・プラセボ群4.0%と差がなく、3シーズンの追跡でも新たな安全性の問題は見つかっていません
- 接種翌日に大事な予定を入れない日を選ぶのがコツです
ギラン・バレー症候群について
アレックスビーの添付文書には、重大な副反応としてギラン・バレー症候群(手足の力が入らなくなる神経の病気。多くは回復します)が記載されています。米国の65歳以上を対象にした市販後の調査では、接種後42日間にこの病気が100万回の接種あたり約7回多く起こると推計されました。ただし因果関係は確定しておらず、ギラン・バレー症候群そのものが年間10万人あたり1〜2人に起こる病気であることを考えると、頻度はきわめて低いものです。米国FDAも、日本の3学会も、ワクチンの利益がこのリスクを明らかに上回ると評価しています。日本では2026年7月から、RSウイルスワクチン接種後のギラン・バレー症候群が副反応疑い報告の対象に加わり、監視が強化されています。
接種後数週間以内に両方の手足に力が入らない、しびれが広がる、歩きにくいといった症状が出たときは、すぐに受診してください。
接種できない方・注意が必要な方
- 過去にアレックスビーの成分で重いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こした方
- 接種当日に37.5℃以上の発熱がある方、急性の病気にかかっている方(治ってから接種します)
- 妊娠中の方(母子免疫の適応はなく、接種しないことが望ましいとされています。妊婦さんにはアブリスボが定期接種で使われます)
- 18歳未満の方(適応がありません)
- 血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は接種できます。注射のあと、接種部位をしっかり押さえていただきます
- 免疫を抑える薬を使っている方も接種できます。生きたウイルスを含まないためで、むしろ接種をおすすめする対象です
- 過去にギラン・バレー症候群になったことがある方は、接種の前にご相談ください
6. 国内外の推奨と「定期接種」の現状——高齢者向けは、まだ任意接種
- 日本の3学会(日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会、2025年12月):高齢者へのRSウイルスワクチン接種を推奨。基礎疾患のある成人もインフルエンザと同程度のリスクがあるとしています
- 米国CDC:75歳以上の全員、60〜74歳で重症化リスクのある方、さらに2025年からは50〜59歳で重症化リスクのある方に、生涯1回の接種を推奨
- 英国NHS:2024年秋から75〜79歳に公費接種を開始し、2026年には80歳以上にも拡大
一方、日本の制度はこれから、という段階です。2026年4月から妊婦さんへのRSウイルスワクチン(母子免疫・アブリスボ)が定期接種になりましたが、高齢者向けのRSウイルスワクチンは任意接種(全額自己負担)のままで、2027年度の定期接種化を検討するワクチンの一覧(2026年5月時点の厚生労働省資料)にもまだ入っていません。川口市にも、高齢者向けの費用助成は現時点でありません(2026年11月時点)。
「定期接種になるまで待つ」という選択について:帯状疱疹ワクチンや肺炎球菌ワクチンのように、いずれ公費で受けられるようになる可能性はあります。ただ、現時点で見通しは立っていません。入院1回のリスクを考えると、75歳以上の方や心臓・肺の病気がある方は、待たずに任意接種を検討する価値があると当院は考えています。制度が変わればこの記事も更新します。
7. 費用——当院では1回25,000円(任意接種)
アレックスビーは任意接種で、健康保険は使えません。当院の料金は次のとおりです。
| ワクチン | 接種回数 | 川口市の助成 | 自己負担(当院) |
|---|---|---|---|
| アレックスビー(RSウイルスワクチン) | 1回 | なし | 25,000円(税込) |
- 1回の接種で2〜3シーズン効果が続くため、1シーズンあたりにならすと約8,000〜12,500円の計算になります
- 予防接種の費用は、医療費控除の対象にはなりません
- インフルエンザ(毎年)・肺炎球菌(1回)・帯状疱疹(2回)と組み合わせる場合の順番や同時接種は、診察時にご相談ください。同じ日に別の腕へ接種できます
- 川口市以外にお住まいの方も同じ料金です(2026年11月時点で、当院が把握する限り近隣の自治体にも高齢者向けの助成はありません。お住まいの自治体にご確認ください)
8. こんな方には特におすすめします
- 75歳以上のすべての方——年齢そのものが最大のリスクです
- 60歳以上で、心不全・狭心症・心筋梗塞・心房細動などの心臓病がある方——入院時の心臓の合併症が3人に1人に起こります
- 60歳以上で、COPD・喘息・糖尿病・慢性腎臓病・慢性肝疾患・肥満のある方
- 60〜74歳で持病のない方——優先度は少し下がりますが、対象です。年齢とともにリスクは上がりますので、他のワクチンと合わせて計画的に
- 50〜59歳で上記の持病がある方(2024年11月から対象)
- 18〜49歳で上記の持病がある方、免疫を抑える治療中の方(2026年5月から対象)
- 高齢者施設に入所中・入所予定の方——施設内の集団感染から身を守るために
- インフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹のワクチンを済ませた方——「大人のワクチン」の次の一手として
9. よくあるご質問
毎年打つ必要がありますか?
現時点では1回の接種で完了です。1回で2〜3シーズン効果が続くことが確かめられており、1年後の追加接種には上乗せ効果がありませんでした。3年以上たってからの追加接種については研究が続いており、推奨が変われば当院からもお知らせします。
インフルエンザや肺炎球菌、帯状疱疹のワクチンと同じ日に打てますか?
打てます。添付文書上も他のワクチンとの同時接種が認められており、インフルエンザワクチンとの同時接種の試験でも安全性に問題はありませんでした。別の腕に接種します。秋のインフルエンザワクチンのついでに、という方が多いです。
いつ打つのがよいですか?流行の時期は?
RSウイルスは、以前は冬に流行する病気でしたが、近年は夏から秋に流行する年が多く、季節を問わず患者さんが出ています。効果が2〜3シーズン続くワクチンなので、時期にこだわる必要はありません。「思い立ったとき」「定期通院のついで」で結構です。
50代ですが、接種できますか?
心臓病・肺の病気・糖尿病・腎臓病・肝臓病・肥満・免疫不全などの持病がある方は、50歳以上(2024年11月から)、18歳以上(2026年5月から)でも接種できます。持病のない50代の方は現時点では対象外ですので、60歳になってからご検討ください。
以前にRSウイルスにかかったことがあります。それでも必要ですか?
必要です。RSウイルスは一度かかっても免疫が長く続かず、一生のあいだ何度も再感染するウイルスです。「かかったことがあるから大丈夫」とはいえません。症状が治まってから接種してください。
アブリスボとはどう違うのですか?
どちらも60歳以上に有効なワクチンです。アレックスビーは免疫を高めるアジュバントを含み、3シーズンにわたる効果のデータがあること、持病のある18歳以上の方に使えることが特長です。アブリスボは妊婦さんに接種して赤ちゃんを守る「母子免疫」の定期接種に使われています。当院ではアレックスビーを取り扱っています。
血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいます。
接種できます。細い針で接種し、接種後に2分ほどしっかり押さえていただけば、問題になることはほとんどありません。服用中の薬は、予診票に必ずご記入ください。
費用の助成はありますか?
2026年11月時点では、国の定期接種にも川口市の助成制度にも含まれておらず、全額自己負担(当院では25,000円)です。妊婦さんへの母子免疫ワクチン(アブリスボ)のみが定期接種の対象です。制度が変わり次第、この記事とクリニックの掲示でお知らせします。
10. 当院での接種の流れ
- ご予約:お電話またはWEBからご予約ください。ワクチンのみの受診の場合、初診料はかかりません。
- 当日:予診票をご記入いただき、医師が体調を確認します。持病や内服中の薬、過去のワクチンで強い反応が出たことがあればお伝えください。
- 接種:上腕に筋肉注射します。接種後15〜30分ほど院内でお待ちいただき、体調に問題がなければ終了です。
- 接種後:追加接種は不要です。接種の記録(接種済証)はお薬手帳などと一緒に保管してください。
11. RSウイルスワクチンのご相談は、ちねん内科クリニックへ
ちねん内科クリニック(内科・循環器内科)
当院では、RSウイルスワクチン(アレックスビー)のほか、帯状疱疹・肺炎球菌・インフルエンザ・新型コロナなど、大人のワクチン接種に力を入れています。「どのワクチンを、どの順番で受ければよいか」を、持病や治療内容をふまえて一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。
- 所在地:埼玉県川口市安行吉岡
- 診療時間:9:00〜13:00/15:00〜18:00
- 休診日:金曜・土曜(日曜は午前のみ)
- RSウイルスワクチン(アレックスビー):1回25,000円(税込・任意接種)
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。心血管病に対するワクチンの効果は研究段階の知見を含み、効果を保証するものではありません。費用・制度の内容は2026年11月時点の情報です。最新の情報は当院にご確認ください。
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