循環器内科の症状
循環器内科の症状
心臓や血管の病気の症状は、疲れや年齢のせいと見分けがつきにくいものが多い一方で、数時間の遅れが命に関わるものも含まれています。手がかりは「どんなときに起こり、どのくらい続き、何をすると楽になるか」です。当院では、心電図・胸部X線・採血・ABI・肺機能検査を当日その場で行い、「急ぐ病気かどうか」をその日のうちに切り分けます。心エコー・ホルター心電図は予約制ですが、緊急性が高い場合は当日の対応や連携病院への紹介を優先します。
坂道や階段で胸の真ん中が締めつけられ、立ち止まると数分で楽になる。心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなった、労作性狭心症の典型です。あご・歯・左肩・みぞおちの重苦しさとして現れることもあり、糖尿病の方や高齢の方では息切れやだるさだけのこともあります。安静時や明け方の痛みは、血管が一時的にけいれんする冠攣縮性狭心症のことがあります。20分以上続く強い痛みに冷や汗や吐き気を伴えば心筋梗塞の可能性があり、血管の壁が裂ける大動脈解離では、引き裂かれるような激痛が背中へ移動します。一方、深呼吸や体をひねると痛みが変わる、押すと痛む場所がはっきりしている痛みは、肋骨や筋肉、神経が原因のことが多く、心臓由来の可能性は低くなります。
早めに受診
動いたときだけ起こり、休むと治まる痛み。軽くても、放置すると心筋梗塞に進むことがあります
当院での調べ方
心電図・胸部X線・採血(トロポニン)は当日。心エコーで心臓の動きと弁を確認し、必要なら負荷心エコーや冠動脈CTなどの追加の検査のために連携病院へご紹介します
スイッチを入れたように突然始まり突然止まる、規則的だがとても速い動悸は、発作性上室性頻拍など、カテーテル治療で根治できる不整脈が疑われます。だんだん速くなりだんだん収まるなら、貧血・甲状腺の働き・発熱・脱水・カフェイン・睡眠不足・不安が背景のことが多くなります。「一拍抜ける」「ドキンと打つ」は多くが心配の少ない期外収縮ですが、手首の脈がまったく不規則でばらばらなら心房細動の可能性があります。心房細動は、心臓の中にできた血の塊が脳へ飛ぶ脳梗塞を起こし、命に関わることがあります。症状が軽くても、一度は確認が必要です。症状が出たときの脈の速さと規則性のメモ、スマートウォッチの心電図記録は立派な診断材料です。
早めに受診
脈がばらばらに乱れる/突然始まり突然止まる動悸を繰り返す/安静時の脈が1分間に40回未満、または120回超/動悸に胸の痛みや息苦しさ、意識が遠のく感じを伴うときは救急へ
当院での調べ方
心電図は当日。受診時に治まっている不整脈は24時間のホルター心電図、それでも捕まらないときは最長1週間の長時間ホルターで捉えます。心房細動には脳梗塞のリスク評価と抗凝固薬による予防を行い、根治治療が適する方は連携病院へご紹介します
坂道や階段で苦しい段階から、着替えや入浴で息が切れる段階へ進むのは心不全の典型的な経過です。横になると苦しく体を起こすと楽、夜中に息苦しさで目が覚める、数日で体重が2kg以上増えた。これらは体に水分がたまっているサインです。息切れが狭心症の唯一の症状であることもあります。咳や痰、ゼーゼーという音を伴えば肺の病気(喘息・COPD・肺炎)、顔色が悪く疲れやすければ貧血、大きないびきと日中の眠気を伴えば睡眠時無呼吸症候群も考えます。突然始まった強い息苦しさは、心筋梗塞や肺血栓塞栓症など急いで確かめるべき原因を含みます。
早めに受診
数日で体重が2kg以上増えた/夜間に息苦しさで目が覚める/足のむくみを伴う/以前できた動作で息が切れる
当院での調べ方
心電図・胸部X線・採血(BNP)・肺機能検査は当日行い、心臓と肺のどちらが主な原因かをその日のうちに切り分けます。心エコーでポンプ機能・弁・水分のたまり具合を評価し、睡眠時無呼吸は自宅で一晩測る簡易検査で調べます
両足が同じようにむくむときは、心不全、腎臓(蛋白尿)、肝臓、甲状腺の働きのほか、お薬の影響を考えます。血圧の薬の一部(アムロジピンなどのカルシウム拮抗薬)や痛み止めは、むくみの原因になります。長時間の立ち仕事や下肢静脈瘤でも、夕方に強く朝に軽いむくみが出ます。一方、片足だけが急にむくみ、痛みや熱っぽさ、赤みを伴うときは、足の深い静脈に血の塊ができる深部静脈血栓症の可能性があり、血栓が肺に飛ぶ前に早めの確認が必要です。毎日同じ条件で測った体重の記録と、服用中のお薬(お薬手帳、市販薬も含めて)が診断の助けになります。
早めに受診
片足だけの急なむくみに痛み・熱感・赤みを伴う/息切れや体重増加を伴う/顔やまぶたもむくむ/尿の泡が消えにくい
当院での調べ方
採血(腎機能・アルブミン・甲状腺・BNP・Dダイマー)と尿検査は当日。心エコーで心臓の状態を確認し、深部静脈血栓症が疑われれば速やかに連携病院で精密検査を行います。お薬が原因なら、血圧や血糖の管理を保ちながら、むくみにくい薬へ調整します
周りがぐるぐる回る回転性のめまいは、多くが耳の病気です。立ち上がったときに目の前が暗くなるのは起立性低血圧で、降圧薬の効きすぎ、脱水、糖尿病による自律神経の障害などが背景にあります。循環器内科で最も注意するのは「気が遠くなる」「実際に意識を失った」という症状です。脈が極端に遅くなる不整脈や危険な速い不整脈、大動脈弁狭窄症では、脳への血流が一瞬途切れて失神を起こします。前ぶれなく倒れた、運動中に起きた、心臓病の治療中、ご家族に若くして突然死した方がいる場合は、急いで調べる必要があります。長時間の立位や痛み、排尿後に気分が悪くなってから倒れる失神は頻度が高く、多くは心配のないタイプです。原因がわかるまでは、運転や入浴中の長湯に注意してください。
早めに受診
運動中に起きた/心臓病の治療中/脈が遅い(1分間に40回台)/降圧薬を飲み始めてから立ちくらみが続く
当院での調べ方
心電図・採血は当日。心エコーで弁膜症や心機能を確認し、ホルター心電図(24時間〜最長1週間)で不整脈を捉えます。降圧薬による立ちくらみは、家庭血圧の記録をもとに薬の種類・量・飲む時間を調整すると改善することが多いです
一定の距離を歩くとふくらはぎや太ももが痛み、休むとまた歩ける「間欠性跛行」は、足の動脈が狭くなる閉塞性動脈硬化症の典型的な症状です。足の動脈硬化がある方は心臓や脳の動脈にも同じ変化が起きていることが多く、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いことがわかっています。前かがみで楽になる、自転車では平気なら腰部脊柱管狭窄症、両足の足先が左右対称にじんじんしびれるなら糖尿病による神経障害、夕方のだるさやこむら返りなら下肢静脈瘤も考えます。喫煙は足の動脈硬化を最も進める要因で、歩くこと自体が治療になります。
早めに受診
休んでいても足が痛む/足の傷が治らない、黒く変色している/片足が急に冷たく白くなり強く痛むときは救急へ
当院での調べ方
足首と腕の血圧を比べるABIは約10分、当日行えます。頸動脈エコーで全身の動脈硬化もあわせて評価し、禁煙・歩行・血圧・血糖・脂質の管理と抗血小板薬で治療します。カテーテル治療が必要な方は連携病院へご紹介し、治療後の管理は当院で継続します

いつから、どんなときに起こり、どのくらい続き、何をすると楽になるか。一緒に起こる症状(冷や汗、吐き気、息切れ、意識が遠のく感じ)。服用中のお薬(お薬手帳)、健診の結果、スマートウォッチや家庭血圧の記録。症状が治まっているときでも、「あのとき何が起きたのか」を一緒に確かめることはできます。迷うくらいなら、受診してください。「大丈夫だった」と確認できることにも大きな意味があります。