コレステロールの治療で大切なのは、数値そのものより「あなたの目標値」です。年齢・持病・喫煙などのリスクによって、同じLDL値でも対応は変わります。
リスク評価に基づいて目標を決め、心筋梗塞・脳梗塞を防ぐことがゴールです。薬(スタチン)へのご不安にも、丁寧にお答えします。
脂質異常症(コレステロール)
脂質異常症(コレステロール)

コレステロールの治療で大切なのは、数値そのものより「あなたの目標値」です。年齢・持病・喫煙などのリスクによって、同じLDL値でも対応は変わります。
リスク評価に基づいて目標を決め、心筋梗塞・脳梗塞を防ぐことがゴールです。薬(スタチン)へのご不安にも、丁寧にお答えします。
※紹介状がなくても受診できます。
健診でよく指摘され、放置されやすいのが、コレステロールと中性脂肪の異常です。痛みも自覚症状もないため、「来年の健診まで様子をみよう」となりがちです。
しかし脂質異常症は、心筋梗塞・脳梗塞につながる動脈硬化の主要な危険因子のひとつです。症状がない段階でリスクを評価することが大切です。
血液中の脂質のバランスが崩れた状態で、主に3つのタイプがあります。
140mg/dL以上が目安です。動脈硬化を進める中心的な存在です。
40mg/dL未満が目安です。血管の壁からコレステロールを回収する働きが不足します。
空腹時150mg/dL以上、随時175mg/dL以上が目安です。食べすぎ・飲みすぎ・肥満と関係が深く、著しく高い場合は急性膵炎の原因にもなります。
増えすぎたLDLコレステロールは血管の壁の内側に入り込み、「プラーク」と呼ばれるこぶを作ります。これが動脈硬化です。
プラークは長い年月をかけて静かに育ち、あるとき突然破れると、そこに血の塊ができて血管が詰まります。心臓の血管で起これば心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞です。「ある日突然」に見える発作の正体は、何年もかけて進んだ動脈硬化です。
裏を返せば、LDLコレステロールを下げることで心筋梗塞・脳梗塞のリスクが低下することは、多数の臨床試験をまとめた解析で示されています。
「LDLは140未満なら大丈夫」と思われがちですが、治療の目標値は一人ひとり違います。年齢、性別、血圧、血糖、喫煙、ご家族の病歴、心臓や腎臓の状態から、将来の心筋梗塞・脳卒中リスクを評価して目標を決めるのが、ガイドラインに基づく標準的な考え方です。
低リスクの方より、糖尿病や慢性腎臓病のある方、心筋梗塞・狭心症を経験された方ほど、より低い値を目指します。目標値は、診察でリスクを評価したうえで具体的にご説明します。
つまり、同じ「LDL 150」でも、経過観察でよい方と、すぐ治療を始めるべき方がいます。当院では循環器専門医がこの評価を丁寧に行い、「なぜあなたはこの値を目指すのか」からご説明します。

脂質異常症の治療で中心となる薬が、スタチンです。実際の診察で多くの方が最終的に向き合うのは「スタチンを飲むか、飲まないか」という一点なので、この薬のことを先にお伝えしておきます。
スタチンは、国内外で長く使われ、心筋梗塞・脳梗塞の予防効果について多くの研究データが蓄積された薬です。世界中の臨床試験をまとめた解析では、LDLコレステロールを40mg/dL下げるごとに、心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気を起こすリスクがおよそ2割低下すると報告されています。得られる効果は、治療前のリスクとLDLコレステロールの低下幅によって異なり、リスクの高い方ほど治療による利益が大きくなります。もとは日本人研究者・遠藤章博士の発見から生まれた、日本発の薬でもあります。
副作用として筋肉痛やだるさを感じる方がいますが、多くは薬の種類・量・併用薬を見直すことで対応ができます。重い副作用はまれですが、症状と血液検査を定期的に確認しながら、安全性に配慮して継続します。
もちろん、全員に必要な薬ではありません。あなたのリスクなら飲む価値が十分あるのか、生活改善で様子をみられるのか。その見極めこそが診察の中心です。「できれば飲みたくない」というお気持ちも含めて、率直にお聞かせください。
LDLコレステロールが180mg/dL以上ある方、若い頃から高いと言われ続けてきた方、ご家族に若くして(男性55歳・女性65歳未満)心筋梗塞や狭心症になった方がいる方は、「家族性高コレステロール血症」の可能性があります。ご家族の病歴、未治療時のLDL値、アキレス腱の所見などを手がかりに評価し、必要に応じて専門医療機関と連携します。
また、閉経後にコレステロールが上がり始めた女性も多くいらっしゃいます。ホルモン変化による自然な現象ですが、放置してよいかどうかは、リスク評価をしたうえで判断することが大切です。
血液検査に加え、血圧・血糖・喫煙歴などから将来のリスクを評価し、あなたの目標値を設定します。
甲状腺機能低下症や腎臓の病気、薬の影響でコレステロールが上がることがあります。治療の前に、これらが隠れていないか確認します。
飽和脂肪酸を控え、青魚・野菜・食物繊維を増やす。運動、減量、禁煙。続けられる形で、優先順位をつけてご提案します。
生活改善で目標に届かない場合やリスクの高い方には、スタチンを中心とした治療を行い、効果と安全性を定期的な血液検査で確認します。
「やめられなくなる」薬ではなく、飲んでいる間だけ効果がある薬です。生活習慣の改善で目標を達成できれば、減量や中止を検討できる場合もあります。一方、遺伝的に高い方や心筋梗塞を経験された方では、続けることに大きな意味があります。やめどきも含めて、率直にご相談ください。
LDLコレステロールは、心血管リスクに応じた目標まで下げるほど、イベント予防の効果が期待できます。一方で、年齢・持病・治療薬・副作用の有無を踏まえた個別の調整が必要です。当院では検査値と体調を確認しながら、必要な強さの治療を選びます。
LDLが高い方は、卵黄などコレステロールの多い食品はほどほどに。ただ、実は影響が大きいのは飽和脂肪酸(肉の脂身、バター、洋菓子など)のほうです。「あれもこれも禁止」ではなく、現実的な食事の工夫をお伝えします。
ご不安になりますよね。スタチンは世界中で数十年にわたり使われ、効果と安全性について多くのデータが蓄積された薬のひとつです。一方で、不安を強める情報が多いのも事実です。診察では、期待できる利益と副作用の可能性をお示ししたうえでご説明します。最終的な選択は、ご本人と相談して決めます。
健診結果の用紙をそのままお持ちください。過去の結果もあれば、推移がわかり大変参考になります。
すでに他院で治療中の方は、お薬手帳と直近の血液検査結果をご持参ください。現在の治療内容と目標値を確認し、このまま続けるべきか、見直すべきかを一緒に考えます。
※紹介状がなくても受診できます。
TEL:048-290-8051