アレルギー疾患
アレルギー疾患
花粉症や気管支喘息や食物アレルギーなどに代表されるアレルギー疾患を診察します。人体には特定の物質が体内に入ってくると、これを異物と捉えて取り除こうとする免疫機能があります。アレルギーはその免疫機能が過剰反応してしまい、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの症状が出現する病態です。
気管支喘息は一般的には喘息と呼ばれています。喘息では呼吸の通り道である気管支にアレルギーによる炎症が起こり、敏感になっています。そのため「かぜ」「季節の変わり目」「寒暖差」などの刺激に反応して気管支が狭くなり、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)、息苦しい、咳や痰、喉や胸の詰まった感じなどの症状が現れます。症状の強さは1日の時間帯により異なり、改善と悪化を繰り返しますが、夜間から早朝にかけて症状が悪化することが多いです。
慢性の炎症の原因となるアレルギーが特定できるアトピー型と、それ以外の非アトピー方がありますが、成人になって発症する喘息ではアレルギーを特定できない非アトピー型が4割と多いです。特定できるアレルギーは様々ですが、「ほこり」「ダニ」「花粉」「ペットの毛」など吸入するものが代表的です。また、小児喘息がなくても大人になってから(特に中年以降)喘息を発症することもあります。
喘息の診断は、問診や身体所見による診断と、呼吸機能や気道のアレルギーによる炎症をみる検査による診断を組み合わせて行います。
治療は、吸入ステロイドで気管支の炎症を抑えて発作が起こらないようにすることが基本となります。また発作時にはβ刺激薬の吸入により気管支を広げる治療を行います。
当院では喘息の診断に有用な、呼気中の一酸化窒素濃度を測定し気道のアレルギーによる炎症をみる装置と、呼吸機能を測定できるスパイロメトリーがあり、なるべく正確な診断ができるようにしています。
アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎は、スギやヒノキなどの花粉によって引き起こされる季節性アレルギー(花粉症)と、ダニやハウスダストなどによって1年を通して引き起こされる通年性アレルギーに大別されます。症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。花粉症は、春はスギ、ヒノキ、夏はイネ科、秋はブタクサなど、季節によってアレルゲンとなる花粉の種類が異なります。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどに苦しむ花粉症の方は年々増加しており、日本国民の25%以上が花粉症という統計もあります。症状は季節性・通年性のいずれも、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、充血などです。
治療の基本はまず、原因物質が分かっている場合は、マスクやメガネや部屋の掃除などで可能な限り原因に曝露されないようにします。薬物療法は、アレルギー性鼻炎では抗ヒスタミン薬という飲み薬や、点鼻ステロイド薬という鼻のスプレーを用います。一般的によく使用されているのは市販もされている抗ヒスタミン薬ですが、症状を抑える効果は点鼻ステロイドの方が高いことが多くの試験で示されております。症状が強い場合は両者を併用する方が効果が高いことも多いです。アレルギー性結膜炎では、アレルギー反応を抑える点眼薬によって、目のかゆみの症状を改善します。
減感作療法は、原因となるアレルゲンを低濃度から体内に取り込み、徐々に濃度を上げていき、体のアレルギー反応を弱める治療法です。治療は3~5年継続する必要がありますが、80%の方に効果があり、そのうち20%が症状がなくなり、60%は症状が改善すると言われています。薬物療法だけでは症状が抑えられない患者さんでは考慮されます。
じんましんは皮膚の一部分が突然くっきりと赤く盛り上がり、しばらくすると皮疹が消えるという特徴があります。大きさは小さいものから大きいものまで様々で、たいていはかゆみを伴います。原因がはっきりしているタイプと、原因がはっきりしないタイプがありますが、多くの場合は原因が分かりません。じんましんの治療は、まず原因や悪化因子を探して、それらを避けるようにします薬物治療は、抗ヒスタミン薬というアレルギーの薬が中心となります。
アナフィラキシーはアレルギーの中で最も危険な病態であり、複数の臓器にアレルギー反応が起こり命が危険になりかねない状態です。皮膚症状、腹痛、嘔吐、息苦しさなど色々な臓器の症状が、急激に出現します。迅速に対応しないと生命に関わる危険な状態になることがあり、アドレナリンという薬を迅速に筋肉注射する必要があります。アナフィラキシーを疑う症状が起こったら速やかに救急車で医療機関に行ってください。